カーリングのもぐもぐタイム禁止は本当?噂の真相と歴代おやつ徹底解剖
氷上で円陣を組み、楽しそうにおやつを頬張りながら作戦を練る――。2018年平昌五輪で日本中を虜にし、流行語大賞トップテンにも輝いたカーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ」の「もぐもぐタイム」。緊迫したメダル争いの最中に見せたほほ笑ましい光景は、一躍冬の風物詩として定着しました。
しかしその後、ネット上では「もぐもぐタイムが国際ルールで禁止されたらしい」「もう見られなくなるのか」といった真偽不明の噂が飛び交う事態に。2026年の現在、あの愛らしいハーフタイムの栄養補給はどうなっているのでしょうか。禁止説の真相から、選手たちが過酷な氷上で補給を欠かせない科学的理由、一世を風靡した歴代おやつ、そして最新のルール事情まで余すところなく解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「もぐもぐタイムが禁止された」という噂は完全な誤解。コロナ禍の一時的な感染防止策や放送規制の話が曲解されて広まった。
- 要点2:1試合で1,000kcal超を激しく消費するカーリングにおいて、第5エンド後の糖分・栄養補給は勝敗を分ける生命線。
- 要点3:2026年最新ルール下でも補給時間は健在。トップチームは専門栄養士の管理のもと、より機能的かつ戦略的に摂取している。
【噂を検証】「もぐもぐタイム禁止の真相」|なぜデマが拡散したのか?
結論から言えば、世界カーリング連盟(WCF)がもぐもぐタイムそのものを禁止した事実は一切ありません。選手が試合の合間にエネルギー補給を行う権利は、競技ルール上しっかりと保証されています。ではなぜ、「禁止された」という噂がこれほどまことしやかに語られたのでしょうか。その背景には、主に3つの要因が存在します。
1つ目は、コロナ禍における感染対策の徹底です。2022年北京五輪の前後、国際大会の現場ではアクリル板の設置やソーシャルディスタンスの確保、マスク非着用時の会話制限などが厳しく義務付けられました。かつてのように選手同士が顔を突き合わせて同じパックのフルーツをつまむシーンが減り、個包装のサプリメントを素早く口に運ぶ形式へ変化したことで、「禁止されたのではないか」と勘違いする視聴者が相次ぎました。
2つ目は、中継カメラの撮影規制に関する誤解です。海外中継において、作戦会議の音声や選手のプライベートな表情をどこまで映すかというガイドラインが見直され、ハーフタイム中に選手を大写しにしないアングルが増えた時期がありました。映像としてテレビに映る時間が減った結果、「ルールでやめさせられた」という憶測が独り歩きしたのです。
3つ目は、「もぐもぐタイム」という言葉自体が非公式の愛称だった点です。公式記録や競技規定上はあくまで「カーリングハーフタイム(第5エンド終了後の休憩)」であり、ルールブックに「もぐもぐタイム」という項目があるわけではありません。言葉の定義と現場の実態がネット上で混ざり合い、「禁止令が出た」というフェイクニュースめいた噂へと発展してしまいました。
なぜ氷上で食べるのか?栄養補給が絶対に欠かせない過酷な理由
のどかな休憩風景に見える時間ですが、選手たちにとっては死活問題です。カーリングは「氷上のチェス」と称される頭脳戦であると同時に、極めて過酷な持久系スポーツだからです。
試合時間は1試合あたり約2時間半から3時間にも及びます。氷上を全力で掃き続けるスイープ(ブラシがけ)は短距離走を繰り返すような無酸素運動に近く、心拍数は一時的に170bpm以上まで跳ね上がります。1試合で消費するエネルギーは1,000kcal〜1,500kcalに達し、体温を奪われやすい冷え切ったリンクの上では基礎代謝も大幅に上昇します。
さらに重要なのが、脳のエネルギー源となるブドウ糖の確保です。スキップの藤澤五月選手やサードの吉田知那美選手をはじめ、選手たちは数手先、十数手先の石の配置を常にシミュレーションし続けています。極限の疲労下で血糖値が低下すると、集中力や空間認識能力が著しく落ち、ミリ単位のショットミスを招きかねません。第5エンド終了時に素早く糖分を補給することは、極限状態の集中力を第10エンドまで持続させるための極めて科学的なコンディショニング戦略なのです。
【歴代おやつ一覧】ロコ・ソラーレが愛した銘菓と社会現象
ロコ・ソラーレが試合中に口にした食べ物は、瞬く間に全国的なブームを巻き起こしました。地元・北海道北見市の銘菓から手軽なフルーツまで、チームの快進撃を支えた歴代おやつを振り返ります。
| 大会・時期 | 主な補給食(おやつ) | 特徴・エピソード |
|---|---|---|
| 2018年 平昌五輪 | 赤いサイロ(清月) 韓国産いちご、バナナ | 北見のチーズケーキ「赤いサイロ」は注文が殺到し数か月待ちの社会現象に。 |
| 2019〜2021年 国内外ツアー | どら焼き、羊羹 干し芋、エナジージェル | 即効性の高い和菓子中心へシフト。脂質を抑えて素早いエネルギー変換を狙う。 |
| 2022年 北京五輪 | ゼリー飲料、みかん ラムネ(ブドウ糖) | 感染対策を考慮した個包装中心。即効性の高いブドウ糖タブレットが話題に。 |
| 2023〜2026年 最新シーズン | 特製スムージー BCAA配合高機能ゼリー | 管理栄養士と連携した個別最適化メニュー。身体への吸収速度を分単位で計算。 |
中でも象徴的だったのが、地元北見市の老舗菓子司「清月」が製造する「赤いサイロ」です。しっとりとしたチーズの風味とコンパクトなサイズ感が補給にうってつけで、五輪期間中から完売が続出。全国の物産展でも早朝から行列ができるなど、地方銘菓の認知度を一気に全国区へと押し上げました。
一方で、平昌五輪の際に選手たちが「おいしい」と口にしたことから巻き起こった「韓国いちご問題」も記憶に新しいところです。日本の品種改良技術や育成者権の保護を巡る政治的・農業的議論へと飛び火し、思わぬ形で国際ニュースとなりました。それほどまでに、彼女たちの補給風景は世界中から一挙手一投足に注目を集めていた証拠と言えます。
作戦と絆の「デッドタイム」|なぜお茶の間の心を掴んだのか?
カーリングの競技進行において、第5エンド終了後に設けられる休憩時間は、計時が完全に止まる「デッドタイム(オフィシャルブレイク)」と呼ばれます。通常はロッカールームに戻って体を休める海外チームも多い中、ロコ・ソラーレの選手たちはあえてシート脇に座り込み、オープンな空間で車座になりました。
そこで交わされていたのは、単なる世間話ではありません。「ここ、ちょっと石が曲がりにくいかも」「次はあのコースを使おう」といった、氷の表面状態(アイスリーディング)のすり合わせです。その会話の合間に「そだねー」という柔らかい北海道弁が自然と混ざり合い、笑顔でお菓子を分け合う姿が、勝負の世界の張り詰めた空気をふっと和ませました。
高度な心理戦の舞台裏がそのまま可視化されるというカーリング特有のオープン性と、選手たちの飾らない人柄が見事に合致したこと。これこそが、単なるスポーツ中継の枠を超えて国民的な人気を獲得した決定的な理由でした。
【2026年最新ルール】もぐもぐタイムの現在地と進化
現在、国際大会におけるカーリングのタイムマネジメントはよりシビアになっています。各エンドの消費時間をチームごとに管理する「シンキングタイム制」が定着しており、無駄な時間の引き延ばしは厳格にペナルティの対象となります。
第5エンド後のハーフタイムは通常約5分間(大会規定により3〜5分で変動)。以前のようにゆったりと雑談を楽しむ余裕は少なくなり、現在のトップチームは極めて計画的にこの時間を使っています。
補給の内容も、従来のお菓子から最新のスポーツ科学に基づいた機能性補給食へと劇的に進化しました。胃腸に負担をかけない浸透圧調整ドリンク、急速に脳の覚醒を促すブドウ糖タブレット、乳酸の蓄積を防ぐアミノ酸ゼリーなど、選手それぞれの体質や疲労度に合わせて細かく処方されています。ほのぼのとした見た目はそのままに、内情は超ハイテクなコンディショニングへとアップデートされているのが、2026年現在の実態です。
【カーリングのもぐもぐタイム】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「もぐもぐタイム」は公式ルールで決められた名称ですか?
A1:いいえ、公式名称ではありません。正式には第5エンド終了後に設けられる「ハーフタイム(休憩時間・オフィシャルブレイク)」です。「もぐもぐタイム」は、日本のメディアや視聴者が親しみを込めて呼んだ愛称です。
Q2:海外のカーリングチームもおやつを食べるのですか?
A2:はい、多くの海外選手もバナナやエナジーバー、栄養ドリンクなどを摂取しています。ただし、海外チームはシート脇ではなくロッカールームに戻って補給することが多いため、日本チームのようにシート脇でオープンに食べる姿が珍しがられ、海外メディアでも好意的に報じられました。
Q3:試合中に席を外してトイレに行くことはできますか?
A3:ハーフタイム中であればトイレに行くことが可能です。エンドの途中でも許可を取れば一時離脱できますが、シンキングタイム(持ち時間)は消費され続けるため、基本的にはハーフタイムの数分間で済ませるのが鉄則です。
まとめ:氷上の頭脳戦を支えるエネルギー補給の行方
「もぐもぐタイム禁止」の噂は事実無根であり、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するために不可欠な栄養補給の時間は、今も変わらず大切にされています。変わったのは、スポーツ栄養学の進化に伴い、より戦略的で無駄のない補給へと洗練された点だけです。
氷の上で展開される緻密な頭脳戦と、それを支える一瞬のモグモグ。厳しい勝負の世界で見せる選手たちの自然体の笑顔は、ルールや時代が移り変わっても、カーリングというスポーツの持つ大きな魅力であり続けるはずです。 (出典: カーリング もぐもぐ タイム(Yahoo!ニュース))